日光街道にある全ての宿場町を公共交通機関のみで巡る旅、この記事では2日目の様子をお届けします。
1日目の様子はこちらからご覧ください。
なお、今回の旅行にあたってはこちらの本「ちゃんと歩ける日光街道・奥州街道(八木牧夫著)」を参考にさせていただきました。
街道の道中にある旧跡や名所などが詳細に記載されていて非常に参考になったので、日光街道を旅する際は購入しておくことをオススメします。
それでは、日光街道の宿場町巡りを開始します。
宿をチェックアウトして、少しだけ日光方面に戻った小金井宿から本日はスタートします。
小金井宿
JR宇都宮線の小金井駅で下車しました。
小金井は鉄道の街ということで、駅前には蒸気機関車の車輪のモニュメントが飾られています。
小金井駅から北方向に10分ほど歩くと、小金井一里塚があります。
日光街道にある一里塚の中で、唯一国の史跡に指定されている場所です。
写真手前と奥、2つの塚の間が当時の道幅だったそうです。
そう考えると、当時の日光街道の様子が少しだけ見えてくるような気がします。
一里塚からさらに北に10分ほど歩くと見えてくるのが、慈眼寺です。
なかなか立派な境内を持つ寺で、かつては将軍の休憩所などが置かれていたそうです。
慈眼寺の周辺が、小金井宿があった場所とされています。
本陣跡などもありますが、写真の通り門が残っているのみです。
この次の新田宿へは、ここから歩いて向かいます。
新田宿
小金井宿から南方向に、日光街道沿いをひたすら歩きます。
ゴールの東京はまだまだ遠いです。
小金井宿から30分ほど歩くと、新田宿があった場所にたどり着きます。
沿道にはなかなか凝った灯籠が置かれています。
この立派な門は、かつて新田宿の本陣として使用されていたものです。
現在は民家の門として使用されているので、見物や撮影の際にはお気をつけください。
沿道にはところどころにこのような看板が立てられています。
この付近の景色は本当になんの変哲もない住宅街ですが、これがあると本当に宿場町があったんだなと実感します。
ここからまた歩いて小金井駅に戻り、次の宿場町に向かいます。
近くにコミュニティバスの路線もあるのですが、本数が少なく今回はタイミングが合いませんでした。
小山宿
次の宿場町は小山宿です。
本当は小山のホテルをチェックアウトした直後にここを散策しているので、時系列は前後します。
小山宿があったのはJR小山駅から比較的近いエリアです。
小山駅前を通る小山宿通りが、基本的にそのまま当時の日光街道の道筋です。
栃木を代表するターミナル駅である小山駅のすぐ近くなので周囲は完全に都市化していますが、それでもここに宿場町があったことを示しています。
宿場町をイメージしているかのようなこの建物は、「小山市まちの駅思季彩館」です。
ここでは周辺地域の特産品などが販売されていたり、飲食などもできます。
写真奥の建物が小山宿の脇本陣とのことですが、なにやら近寄りがたい雰囲気です。
日光街道の道筋から少し外れたところにある定光寺です。
小山駅のすぐ近くなこともあって広くはないですが、なかなか趣のあるお寺です。
それでは、次の宿場町へ向かいます。
間々田宿
JR宇都宮線に乗って間々田駅で下車しました。
ここが間々田宿の最寄り駅です。
駅から徒歩10分ほどの場所にある「小山市立車屋美術館(小川家住宅)」です。
この小川家住宅は国の登録有形文化財に登録されている建造物で、かつて商家として使われていたものだそうです。
ちなみに美術館の方は現代アートをメインに展示されています。
日光街道沿いにある「逢いの榎(間の榎)」です。
ここ間々田宿は日光街道の中間地点であり、旅人の目印として「間の榎」と呼ばれました。
それが時代を経て「逢いの榎」と呼ばれるようになり、縁結びのご利益があるとして親しまれたそうです。
駅から北に20分ほど歩くと、間々田宿の中心にたどり着きます。
現在では本陣跡と問屋場跡に看板が残るのみですが、ここに確かに宿場がありました。
駅に戻り、次の宿場町に向かいます。
野木宿
JR宇都宮線の野木駅で下車しました。
ここから野木宿があった場所まで向かいますが、3kmほど歩くことになります。
おそらくこの野木宿が、公共交通機関で日光街道の宿場町を巡るうえで最大の難所になります。
野木駅から1kmほど歩くと、周囲は畑になります。
野木宿の周辺にはコミュニティバス含めバス路線も一切ないので、こんな道をひたすら歩くことになります。
遠くに見える高層マンションは古河駅前のマンションですが、最終的にはあそこまで歩きました。
約3km歩いてようやく野木宿にたどり着きました。
民家の生け垣に埋もれている一里塚跡の看板がありました。
沿道にさりげなく野木宿を紹介する看板がありました。
現在のこの周辺は、畑に囲まれた集落といった風景です。
この近辺の日光街道沿いには、延々と松並木が植えられていたそうです。
現在ではその面影はほとんどなく、普通の田舎の国道沿いといった風景です。
ここから次の古河宿までさらに歩きます。
古河宿
野木駅から日光街道を歩き続け、ついに茨城県古河市に突入しました。
野木宿から野木駅に戻っても約3km、古河宿まで行っても約3kmで変わらないので、それならばと古河まで歩くことにした次第です。
古河の街中に入ると、宿場町らしい風景が迎えてくれました。
ここまで宿場町らしい風景が感じられるところは、今まで巡ってきたところにはなかったので、ようやく旧街道を旅している実感が湧きました。
日光街道沿いにある本成寺です
こちらもなかなか立派なお寺です。
旧日光街道の沿道はちょっとした商店街になっています。
ところどころに年季の入った建造物が見られて、なかなか歩いていて楽しいエリアです。
日光街道も古河駅付近に近づいてくると近代的な整備がされています。
ですが、ところどころに宿場町があったという痕跡は残しています。
野木駅から古河駅まで約6kmを歩き切りました。
さすがに疲れたので、古河駅構内にある「本格拉麺酒房もっけい」で味噌ラーメンをいただきました。
やっぱり疲れた体にはこういう濃い味が沁みます。
古河は古河城の城下町としても発展してきた街です。
城跡に近いエリアも、宿場町エリアとはまた違った趣きがあります。
こちらは古河城跡近くにある古河市立古河第一小学校です。
本当に公立の小学校かと疑いたくなるくらい見事なレンガ造の門が目を引きます。
こちらは鷹見泉石記念館です。
元々は武家屋敷として使われていた建物で、蘭学者の鷹見泉石が晩年を過ごした場所とされています。
屋敷と庭園の織りなす空間が見事で、非常に見ごたえのある場所です。
古河城跡周辺は城下町の名残りが感じられ、散策していてとても楽しい場所です。
またじっくり散策しに訪れたいと思いました。
この辺で古河駅に戻り、次の宿場町へ向かいます。
中田宿
古河駅前からコミュニティバスに乗り、「中田陸橋脇」バス停で下車しました。
コミュニティバスは本数が少ないので、利用の際はご注意ください。
バス停のすぐ近く、利根川沿いに中田宿はありました。
利根川を挟んだ反対側の栗橋宿とともに、利根川越えの拠点として発展しました。
中田宿の宿場町があった場所は、その大部分が利根川の河川改修工事の際に河川敷の用地となりました。
なのでここ一帯には宿場町の面影はほとんどありません。
河川敷に登って、中田宿があったであろう部分を眺めています。
今では普通の住宅街です。
ここからは徒歩で利根川を渡って、次の栗橋宿に向かいます。
栗橋宿
これからこの利根川を渡ります。
遠くに富士山のシルエットが見えました。
ついに埼玉県に突入しました。
栃木茨城県境に続いて、また徒歩での県境越えとなりました。
栗橋関所跡です。
川越え、峠越えの場所にはやはり関所は付きものです。
本来関所があった場所は河川敷の一部になってしまったので、この石碑は本来の場所とはやや違うところに立っています。
栗橋宿の街並みです。
ちょっとした風情のある商店街になっています。
このまま栗橋駅まで歩き、そこから次の宿場町へ向かいます。
幸手宿
栗橋駅から東武日光線に乗り、幸手駅で下車しました。
ここが幸手宿の最寄りです。
幸手駅自由通路の床には、このように日光街道の宿場町の名前が書かれています。
確認したところ、しっかり日本橋から日光までありました。
そして改札の正面に幸手が来るようになっています。
芸が細かいです。
幸手には権現堂堤という桜の名所があるためか、街中のところどころに桜のモチーフがあります。
街灯の形も提灯風で可愛らしいです。
宿場町のあった付近は、現在では商店街となっています。
どことなく宿場町の雰囲気と昭和の商店街の雰囲気が混ざり合っていて、いい空気感です。
ところどころに宿場の商家を思わせるような建造物もあったりします。
じっくり見ていくとなかなか面白い街並みです。
幸手宿をはじめとした埼玉県内にある日光街道の宿場町では「日光街道埼玉六宿まち歩き」と称した観光プロモーションを実施しています。
スタンプラリーなどの各所が連携したイベントなども実施されたり、東京から比較的近いこともあり振興に力を入れているようです。
幸手駅に戻り、次の宿場町へ向かいます。
杉戸宿
東武日光線の東武動物公園駅で下車しました。
ここは駅名の通り東武動物公園の最寄り駅ですが、杉戸宿の最寄り駅でもあります。
杉戸宿があった付近は、現在では商店街になっています。
古びた商店たちがいい雰囲気を醸し出しています。
杉戸宿ではところどころに古い建造物が残っています。
ここもまた歩いていて楽しい宿場町です。
復元された高札場です。
こちらは現在では杉戸宿のシンボルにもなっています。
案内看板もしっかり設置されています。
この辺で駅に戻り、次の宿場町へ向かいます。
粕壁宿
東武スカイツリーラインの春日部駅で下車しました。
ここが粕壁宿の最寄り駅です。
粕壁と書いて「かすかべ」と読みます。
駅から10分ほど歩くと、なかなか見事な白壁の蔵があります。
普通の街中に突如現れるので、ちょっとびっくりします。
かつての日光街道沿いです。
商店が数多く立ち並ぶにぎやかなエリアです。
街中にはところどころにこのような碑が立てられています。
かつてこの場所に何があったかに想いを馳せながら街歩きができるようになっています。
一部の商店のシャッターには粕壁宿の様子を思わせるような絵が描かれていたりします。
時間もかなり遅くなってきましたが、次の宿場町に向かいます。
越ヶ谷宿
東武スカイツリーラインの北越谷駅で下車しました。
ここと隣の越谷駅との間に、越ヶ谷宿がありました。
ではここから歩いていきます。
北越谷駅近くの旧日光街道沿いです。
ところどころに商店などが立ち並んでいます。
元荒川を越えたあたりから、宿場町風情を感じさせるような建造物が増えてきます。
やはりこのような景色の旧街道は歩いていて楽しいです。
写真の「はかり屋」は、街道沿いの古民家を改装して作られたショップです。
レストランなども併設されているので、時間があれば訪れてみたかったです。
越谷駅まで歩いてきました。
ここから次の宿場町へ向かいます。
草加宿
東武スカイツリーラインの獨協大学前駅で下車しました。
ここは旧街道の松並木が残る草加松原の最寄り駅です。
ではここから歩いて向かいます。
道路を跨いでいるこの歩道橋は百代橋といいます。
ただの歩道橋ですが風情を感じる作りになっていて、この草加松原のシンボルともなっている橋です。
こちらが草加松原遊歩道です。
暗くてわかりにくいですが石畳の歩道と松並木が続いていて、清々しさが感じられる道になっています。
この草加松原は国の名勝・日本の道百選にも選ばれている場所です。
交通量の多い道路のすぐ横ですが、静けさがあって街中のオアシスといった雰囲気です。
綾瀬川対岸のまつばら綾瀬川公園から草加松原を眺めてみました。
松並木が延々と続いている様子がここからもわかります。
こちらは札場河岸公園です。
かつての船着き場を再現した公園で、この綾瀬川を介して江戸との舟運で栄えていたことを伺わせます。
草加といえば草加せんべいを忘れてはいけません。
草加宿を訪れた旅人に煎餅を振る舞ったのが、草加せんべいの始まりとされています。
それが草加の名物となり、今に至るわけです。
草加駅に近づいてくると、かつての草加宿の中心部に入っていきます。
沿道にも年季が入った建物が増えてきます。
草加宿の本陣があったことを示す石碑が、マンションの植え込みに立っています。
草加駅まで歩いてきました。
ここからまた電車に乗り、いよいよ日光街道最後の宿場町に向かいます。
千住宿
東武スカイツリーラインに乗り、北千住駅で下車しました。
ここが千住宿の最寄りです。
ついに東京都に戻ってきました。
駅を出てすぐの商店街はその名の通り「宿場町通り」です。
ここを訪れたのは土曜の夜だったので、飲み屋帰りの人々で賑わっていました。
その宿場町通りの片隅に、本陣跡を示す碑が建てられています。
こちらは高札場跡です。
宿場町通りは飲食店が多い普通の商店街ですが、たまにこのような古めかしい商店も見受けられます。
このような風景に出会えるとワクワクします。
これで日光街道全ての宿場町を巡り終えましたが、最後に日光街道の起点である日本橋を訪問して、この旅を終わろうと思います。
日本橋に到着
東京メトロ日比谷線の小伝馬町駅で下車しました。
ここから日本橋までは少し距離がありますが、少しだけ旧日光街道を歩きながら日本橋に向かいます。
現在の国道14号線から1本外れて並行するように、旧日光街道が伸びています。
現在では雑居ビルが立ち並ぶ静かな通りです。
そこから日本橋方面に進んでいくと福徳神社があります。
ビルの合間に立っているのがなんとも不思議な光景です。
そして、ついに日光街道の起点である日本橋に到着しました。
時刻は夜10時で、この日は累計でかなりの距離を歩いたので、日本橋が本当に輝いて見えました。
これにて、日光街道を公共交通機関のみで巡る旅を終わります。
なんとか終電までにたどり着けてよかったです。
最後に
今回の旅を軽く振り返っていきます。
まず、やはり公共交通機関のみだと歩く距離が増えます。
特に2日目は最終的に60,000歩くらい歩きました。
効率的に宿場町を巡るならやはり車のほうがいいです。
あと、今回宿場町を巡るうえで「ちゃんと歩ける日光街道・奥州街道(八木牧夫著)」の本が非常に役に立ちました。
道端にあるちょっとした看板など、ノーヒントだと見落としてしまうようなものもこの本のおかげで多数見つけることができました。
みなさんも日光街道を巡ろうと思ったときにはぜひ購入して、旅を楽しんでみてください。
以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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